「特権、罪悪感、連帯」

 持っている人は持っている特権を知らず、持たざる人は持たざる特権を知らない。持っている人が、それを指摘されれば居心地の悪さを感じそれぞれの反応を生む。罪悪感を抱きながら持たざる人と連帯したり、特権を認めなかったり、特権を使ってより私欲を満たそうとする。持たざる人は透明化されてきた。
 透明化された人の、理不尽さに対する異議申し立ては、特権から見れば不当な要求として無視される。透明化された人は、世界と、他者と、自分との信頼を失っていく。特権に対するそれぞれの反応は、罪悪感と諦めによって世界を分断してしまう。特権を隠そうと無視する人、特権を明るみにし声を上げる人。
 特権を使い非人道的な事を行い、人道的をうたい非人道的な行いをする人も現れる。暴力、略奪、追放、虐殺、人間は人間を狩る為の技術を持っている。特権はそうした技術を容易に使わせてしまう。それは透明化よりも残酷な排除の手続きである。特権自体は悪ではない。特権を持っている人がどう使うかが問題なのだ。